激動の昭和を突っ走た消防広報の鬼
−おふくろさんから学んだ広報の心−
■中澤  昭著  四六上製本/288頁 定価(本体1,800円+税)送料370
若き消防人に託す、一人の男の生き様とその熱き情熱と心意気をドキュメンタリータッチで描いた  著者中沢 昭の力作!
 警察部門から独立して自治体消防が誕生したとはいえ、当時の消防の社会的評価は「火消し屋」と救急の「運び屋」と揶揄されていた。消防吏員は消防夫と蔑まれ行政機関としては、か弱い存在であった。そのため新聞記事には、消防の美談と宣伝が目立ち行政広報とはほど遠い感があった。
 だが、経済の発展とともに噴出しだしたものは、公害と災害の深刻化であった。「水と安全はタダ」という神話が崩れ、安全を買う時代に入るとともに、消防も宣伝から広報の時代へと変わっていった。
 宣伝から広報へと、消防広報の先頭ランナーとして昭和という時代とともに突っ走った男の物語。

= 主 な 目 次 =
第1章 故郷はどこへ行った
・「俺は、何をすべきか」/母なる大地/懐かしき故郷は今/故郷の四季は先生、おふくろは広報課長だった
第2章 幼き心に沁みこむ言葉
・生まれ育った激動の時代/日本のおふくろ/ふるさとの四季が教えてくれた/迫りくる軍靴の足音/一家を襲った危機/人生の進路
第3章 消防へのいばら道
・憧れの消防訓練所は遠かった/東京は遠かった/情報は疑ってかかれ/敵機がやってきた/知らされぬ終戦/消防へのいばら道/ゼロからのスタート/広報の鬼が目を覚ます時/消防のセールスマン/広報の恩師との出会い
第4章 マスコミへ体当たり
・独立はしたけれど/甘い新婚生活と渋い東京都庁生活/明から暗へ/待っていた難敵/質屋を初めて知る/忘れられた救急広報/消防地蔵と鎌田5
第5章 行政広報への道
・宣伝の時代は終わった/行政広報を実感した日/悲劇の勝島倉庫爆発火災/怒号の記者会見/初告発と特ダネ/目指す現場広報の道が見えてきた/オリンピックが消防を変える/おもてな
第6章 学び多し消防署長一年生
・消防署長は大学生/「都民防火の日」の誕生/えびす顔が鬼になった/鎌田家のピンチ/都市災害への挑戦を誓う
第7章 勝島倉庫火災の教訓
─失敗を失敗で終わらすな─
・終わりのない、広報談義/現場広報へのステップ/大川総監は約束を果たしていた/新しい風が吹いてきた/救急広報へギアチェンジ/救急隊員のある人生
第8章 突っ走った広報
・ 時代が動き出した/火をつける消防/光化学スモッグ第一号/初の欠陥製品公表/広報部への試金石/最高裁判所に新公害が襲う/女性消防官の誕生/女性消防官PR作戦/沖縄返還か署長会議か/消防が火をつけた地震対策/全国初の防災教育読本/全国消防の広報レベルアップ
第9章 二人の悲願
・ 火事は口でも消せる/「消防には、盆も正月もない」/「煙は、あなたより速い」/鬼の目に涙/夢かなった、広報室の誕生/「前例がない、だからやるのだ」/動き出した防災福祉/遅れていた風害対策/ガス事故を無くせ/なぜ防げぬ、欠陥品事故/生活安全課に夏休みはなかった/ローソク立てが燃える/社長を辞任に追いやった欠陥製品/その名は消えた
第8章 痛恨のホテル・ニュージャパン火災
・ 最後の広報談義/「はこび屋」の汚名を消せ/東京のホテルは安全か/ニュージャパン延焼中/6
荒れた記者会見/抜いた伝家の宝刀/消防の生き字引の勇退